金剛峯寺には壇上伽藍から徒歩10分ほどで着きます。
金剛峯寺の特徴
現在の金剛峯寺は明治時代に青厳寺(豊臣秀吉が母・天瑞院(=大政所)の菩提を弔うために建てた)と隣接する興山寺が合併してできたものです。それ以前は高野山全体が金剛峯寺でした。(高野山という山がないのと同じですね)
通常、拝観料は¥500ですが、「高野山・世界遺産きっぷ」の割引で¥400で入ることができます(2割引)。
この金剛峯寺、桶を屋根に載せていることで有名です。「天水桶」といいます。
高野山は山上にあるため、たびたび落雷により焼失しています。そのため、桧皮葺の屋根の上にこの「天水桶」を載せて、雨水を溜めて火事に備えていました(もちろん、現在は使われておりません^^)。
屋根には桶だけではなく、龍もいます。立派な髭ですが、どこかユーモラス^^。
見どころは襖絵
金剛峰寺の襖絵はすばらしいです。入口に近い主殿の襖絵は金箔貼りの豪華なもの、別殿は絵の具の色鮮やかな襖絵で趣が異なります。
一番有名な大広間の群鶴図は斎藤等室、その奥の梅の間は狩野探幽、そして柳の間の柳鷺図(りゅうろず)は山本探斉の作。
でも、最後の柳の間は襖絵よりも豊臣秀次(二代目関白)自刃の間として有名です。秀吉に切腹に追い込まれたイメージが強いですが、最近は、当時の高野山は国の干渉を受けない「守護不入」 の地であったことから、秀吉へのあてつけに秀次自らの意思で切ったという説も出ています。
襖絵だけではなく、庭も綺麗でした。とてもきっちりとした印象の庭です。
16年ぶりに開帳された本尊は…
さて、今年は金剛峰寺の本尊も、開創1200年の特別開帳をしています。前回は1999年の「大修理落慶大法会」の特別開帳だったので、16年ぶりの開帳になります。本尊は弘法大師坐像。大広間の奥の持仏殿に祀られています。
実は私、実際に拝観するまで本尊は仏像だと思い込んでいました。なので、はじめはなぜ「つるっ」とした頭なのだろうと本気で悩みました^^;。
ご本尊は周りの人と譲り合いながらですが、じっくり拝見できます。大広間をはさんでいるので、ちょっと遠いんですけどね。オペラグラスを通してやっと、見えたお顔は、よくパンフレットに載っている写真より優しい印象でした。
見るには遠いご本尊ですが、廊下までお手綱が来ているので、ご縁を結ぶことができます。あまり握っている人がいなかったので、しっかり握り締めてきました。
もうひとつこのお寺で有名な、二石釜(1石=1,000合)のある台所が大広間の裏側にあります。
その手前を曲がった廊下の突き当たりに、「真然大徳廟」を望む鳥居がある場所があって、主殿の中からお参りをすることができます。
高野山復活の立役者・真然大徳
真然は弘法大師空海の甥であり、空海入滅後、荒廃しつつあった高野山の復興・発展に尽力した人です。空海滅後、高野山は年分度者になるための国家試験の仕切り役を、京に近い東寺に取られてしまいました。そしてだんだんと衰退していきます。
ちなみに年分度者とは、出家得度の定員枠に入れた人のこと。得度者は納税や兵役などの義務が免除されたために当時人気がありました。
真然は、この年分度者制度の改革に取り組み、高野山の威厳を取り戻すことに成功したのです。まあ、借りたものを返さないという、「僧侶としてどうなの?」ということもしていますが(補足参照)、高野山の歴史にとっては、なくてはならない重要な人物なのです。
補足:
真然は、東寺から「三十帖冊子」という空海が長安で書写した経典を借りて返さず、高野山vs東寺の紛争の火種を作りました。蛇足ながら、この経典はのちに東寺に戻りましたが、後年、仁和寺門跡に同様のことをされ、そのまま現在に至ります^^;。
御朱印の受け方
御朱印は受付で始めに預けて、帰りに受け取る形です。40分ほど見学していたので待つこともなく、いちばんラクに御朱印をいただけました。
1200年記念の御朱印帳は金剛峰寺の売店で
金剛峰寺特製の御朱印帳も、表紙が木製で変わっているので人気です。通常販売している高野杉の表紙のものと、伽藍中門再建の御用材の檜を使った1200年記念のものがあります。
どちらも弘法大師の筆跡で「御朱印帳」と書かれていて、檜材の方はさらに中門の絵入りです。私は自分で御朱印帳を作ってしまうので買いませんでしたが、隣で御朱印帳を出していた方が1200年記念の檜材のものを使っていました。
ちょっと小ぶりでしたがすべすべした感じで(見た目です。さすがに触ってないですよ^^)とても美しかったです。確かにちょっとほしくなるかも^^。
でも残念ながら、売店ではこの日、木製の御朱印帳が全て売り切れとのことでした。
法話も楽しい
金剛峰寺では新別殿でお菓子やお茶をいただきながら法話を聞くことができます。話を聞くのにお菓子を食べながらというのも気が引けますが、お坊さんが勧めてくれますので、ありがたくいただきました。法話は堅苦しくなく、時々笑い声の出るようなわかりやすいお話でした。
金剛峰寺を出た後、大師教会へ立ち寄りました。教会といっても、建物はお堂です(当たり前^^)。お堂も立派でしたが、何よりも門構えに圧倒されました。
大師協会では写経や受戒体験など、真言密教に触れることができます。