2016年に東京・上野にある東京国立博物館で催された「平安の秘仏展」。小規模な展覧会だったにもかかわらず大変な人気でした。その目玉であった滋賀県甲賀市の櫟野寺(らくやじ)の秘仏本尊・十一面観世音菩薩坐像、通称「いちいの観音」が33年ぶりの大開帳を迎えています。
御開帳中はバスの増便あり
JR京都駅から草津経由、JR草津線甲賀駅から町内巡回バス「櫟野観音」行き乗車15分、あるいは隣の油日駅から徒歩35分の場所にあります。
バスは便が少ないので通常期は使いづらいのですが、御開帳中は増便されています。日中1時間に1本程度、駅→油日神社→櫟野寺→大鳥神社→駅を巡回して、周辺の人気寺社を網羅しているのでうまく使えれば便利です。
もっとも徒歩でもわりと平坦な道が多く、上りも緩やかなのでそれほど負担にはなりません。ムリにバスを待つ必要もないかも。ただとても静寂な雰囲気なので日が落ちたら怖いだろうなぁとは思います。
お祝いムードたっぷりの御開帳
その静寂さを打ち破るかのようにド派手な紅白の門と旗に飾られたお寺が突如現れます。ちょっと運動会みたい^^。
でもやはり歴史あるお寺。運動会の入口の向こうではたくさんの十一面観音石仏がお迎えしてくれます。
仁王門の像も立派です。
仁王門をくぐると正面に本堂が見えます。その手前には回向柱が。
本堂の裏手に宝物殿があり、メインの秘仏本尊の周りを一周するとすべて拝見できるようになっています。
こちらの仏像に関しては「平成の秘仏展」の回をご覧いただくとして、今回は博物館で見た雰囲気との違いを記したいと思います。
櫟野寺の御開帳はこんな感じ
中に入ると最初に秘仏本尊のお姿が。博物館のときとは違い、黒い厨子に収まっています。今回はこの大きな厨子を見ることが目的のひとつでした。
「日本最大の十一面観音座仏」といわれるこの本尊が入るのですから相当な大きさです。でも厨子そのものに凝った装飾などはなく、さっぱりとしています。返って扉を開けた時にあの美しいお姿に感動するのかもしれません。
周囲に並んでいる小仏(大仏も1体)は「平安の秘仏展」にあったものと同じです。解説もその時のものを再利用されていました。
ちなみに特別拝観料は大人¥800・中高生¥300。
博物館とは異なる雰囲気
2年ぶりのご対面でしたが「あれ、こんな暗い印象の仏様だっけ?」というのが正直な第一印象でした。もちろん博物館同様のライティングなんて求めていませんし、実際のお寺で見る仏像の雰囲気が見たかったので十分満足なのですが、少し期待とは異なりました。
ところが
一周してもう一度戻ってみると印象が違って見えます。暗いというより、落ち着いた印象。穏やかに微笑まれているようにも見えます。
さらにもう少し時間を置いて見ると、今度は博物館のときの「キラキラ」とは異なる、落ち着いて控えめな輝きを感じられるようになりました。たぶんこれが本来のお姿ですね。
思うに、第一印象は外から入ってすぐ目にしたので明るさに目が慣れていなかったのでしょう。拝観される方は1度だけではなく、時間を置いて目を慣らしてからまたご覧になることをお勧めします。
限定御朱印あり
御朱印は3種類あり、うち1種類は紺紙に金泥書きの特別なものです。「平成の秘仏展」と御朱印は違いますが、様式は一緒です。下の画像は印がよく見えないので少し明るく処理しました(それでもよくわからない^^;)。字もあまりきれいに映らなかったのですが、実際ははっきりと書かれています。
御朱印帳に書いていただけるのは2種類。通常の薬師如来(甲賀三大仏=特別拝観の出口にある大仏)と近江西国霊場のもの。近江西国霊場は巡っていないのでいつもでしたらいただかないのですが、「櫟野観音大開帳」の記念印に惹かれて書置きをいただきました。
薬師如来は秘仏ではないので御開帳の印はありません。
秘仏本尊の手をデザインした御朱印帳も販売されています。これがかなり魅力的でした。
10/6~12/9、あとひと月足らずの短い期間ですが、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
油日神社もオススメ
櫟野寺から徒歩20分ほどのところに「油日神社(あぶらひじんじゃ)」もあります。なかなか雰囲気の良い神社ですので、ぜひ併せてご参拝ください。