遠州三山の一つに「秋葉総本殿可睡齋」があります。
見た目はお寺ですが名称に「寺」の文字はなく、秋葉三尺坊大権現という神様を祀っているという、ちょっとややこしいところ^^。
はたしてその正体は…
曹洞宗の立派なお寺です。徳川家康ゆかりの寺として、また日本最古の水洗トイレがあることでも有名です。「可睡齋」の名は、家康が、招いた席上で住職が眠ってしまったことを咎めずに快く許したという逸話から生まれました。
境内の2大見どころ
敷地は広く一巡するのに40分ほどかかります。その中でお伝えしたい場所は2つ。
まずは本堂左手を上がった「御真殿」
天井画がとても綺麗です。同じ大きさの板に描かれることが一般的ですが、こちらの天井画はサイズが微妙に異なり、構成がより複雑になっています。
内部拝観では御真殿の中にも入ることができます。堂内には自動運転のエスカレーターがあってびっくり。なんとも近代的なお寺です^^。
もうひとつは奥の院の手前にある「出世六の字穴」
まだ活躍する前の徳川家康が武田勢に追われて身を隠したをされる洞穴。「六の字」とは六観音からきたといわれます。宗派によってこの六観音は違いますが、可睡齋では聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・准胝観音・如意輪観音を指します。
奥の院を左に下っていくと池に出ます。この日は多くのこいのぼりが。
池の先に「ぼたん苑」があり、毎年GW頃に見ごろを迎えます。
内部拝観は迷路のよう
内部拝観をしなければこのお寺の大きさは実感できません。拝観料¥500が必要ですが、日本最古の水洗トイレ・大東司を見るためにも拝観をお勧めします。
総受付から入って本堂や御真殿の内部や雛飾りで有名な瑞龍閣など、とにかく広くて迷路のよう。徳川家の御霊屋もあります。
大書院の廊下には魚梆(ぎょほう)や鐘楼があって驚かされます。他寺では外廊下にあっても、あまり中では見かけません。これだけのものがないと全部屋に聞こえないほど広いのだと想像していただけると思います。
必見!「大東司」
今回、これが見たくて内部拝観した「大東司」。1937年につくられた、日本最古の水洗トイレです。現在も男女共用で誰でも使用できます。
一見トイレとはわからないほどモダンです。中央にはトイレの神様ならぬ、「トイレの仏様」が見守っています。
名前を「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」といい、身にまとった炎で不浄を清める力を持ちます。なかなか珍しいこの仏様のお札はお守りの中でも特に人気です。健康を守護してくださいます。
上の画像は大東司と同じ時期につくられた瑞龍閣。3月まではここに32段のひな人形が飾られていました。現在は片づけられて広々しています。
御朱印
御朱印は「総受付」でいただけます。預けて拝観しても良いのですが、番号札などはなく、引き取りは自己申告制なので御朱印帳の取り違えには注意が必要です。
御朱印は何も言わないと「三尺坊」のみ。お願いすれば「秋葉総本殿」の御朱印もいただけます。
それ以外には私が知る限りでは霊場用の御朱印が3種類あるようです。本尊の聖観音の御朱印は遠州三十三観音霊場のものになります。
可睡齋グルメ
総受付でなぜか販売していた特製「牡丹餅」と「精進コロッケ」。私は牡丹餅を購入^^。
コロッケには季節の野菜を入れているとのことで、この日はタケノコが入っていると聞きました。どちらも3個入りで¥300。
牡丹餅はもち米の粒がはっきりとわかるし、あんこもたっぷり。毎朝つくっても連日売り切れの人気商品だそうですが、添加物が入っていませんので時間が経つと固くなってしまいます。お土産ではなく景色を見ながらのおやつとしてオススメです。ちなみに可睡齋では予約制で立派な精進料理もいただけます。
徳川家康ゆかりの寺とされていますが、現在は2017年の大河ドラマ「おんな城主直虎」で井伊家が注目されています。この可睡斎にも直虎が後見となった直政の子と孫の墓がありますので、そちらでも注目されそうです。
所要時間は内部拝観をするなら1時間半、ひな祭りや牡丹の開花期には2時間はみたほうが良いでしょう。