関山中尊寺 秘仏・一字金輪佛頂尊 御開帳

俗に「人肌の大日如来」と呼ばれ、美仏の代表にも挙げられる、中尊寺の秘仏「一字金輪佛頂尊」が開帳されています。

期間は2016年6月29日~11月6日まで。

今回は4年ぶりの御開帳でしたが、その前は12年前。さらにその前は14年前と間隔が開いています。しかも不定期で次回の御開帳も未定ですので、都合がつくなら、ぜひ見ていただきたい秘仏です。

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美仏の代表格

この秘仏は奥州藤原氏三代・秀衡の念持仏と伝えられ、高さは76㎝。獅子が取り巻く蓮華座(台座)の高さが加わると、かなり見上げてしまいます。

仏像本体と天蓋は、平安時代(12世紀)に作られた重要文化財です。ただし、からだが胡粉で白く塗られたのは17世紀の大規模修繕のとき。そして、7頭の獅子を配する蓮華座は、昭和に入ってからのものです。

顔は、ふわっと化粧をしたように頬や鼻筋の色が濃くなっています。それから弓型の細眉に朱色の紅を差した唇。上品な顔立ちで、見上げるとすっきりとして優しげです。
頭には濃緑のガラスで飾られた「五智宝冠」を載せています。ちなみに、この五智宝冠と日輪の中に座る姿が「一字金輪佛頂尊」と「大日如来」を見分けるポイント。

ですが、大日如来像とされるものの中には、この「一字金輪…」と見分けがつかないものもあります。そんな時は蓮華座の下に7頭の獅子がいるかどうかを確認してみてください。

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体つきは、スリムですが、人に似て、少し脂肪がついたような丸みがあります。特に二の腕に巻かれた紐の締め付け具合が肌の柔らかさを暗示しています。

この柔らかそうな肌の印象と色が「人肌の大日如来」といわれる由縁です。からだはちょっと白すぎて、ベビーパウダーを全身に塗られた赤ちゃんのようにも見えますが^^。

下の中尊寺のパンフレットの写真では、顔の色が首から下と違って見えます、しかし実際は多少頬の辺りの色が濃くなっていますが、顔の中心はからだの色に似ています。ですから写真ほどの違和感はありません。写真にすると光の加減で二分したようになってしまうのだそうです(しかも、下膨れで野暮ったく見える^^;)。

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実物はガングロ仏じゃないですよ^^。

超・珍しい仏像

正面から見ると美しい置仏ですが、横から見ると耳の後ろから後面がすっぱりと切れています。

中尊寺の説明では、前半分がこの世に現れて、後ろ半分がまだ大日如来の頭の中にある一瞬の姿だそうです。

リアルな話では、この仏像は元々壁掛け用に作られたもの(懸仏)なので、後が平らだという説があります。その説を裏付けるように、後面は横から見ると平らですが、軽くするために中をくり抜いてあるそう。

七つの獅子の蓮華座が後付けされて、現在の置仏姿になったのです。

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平べったい仏像ゆえ、それに合わせて天蓋も楕円形になっています。

天蓋の外周には菩薩が描かれています。天女にも見えますが、金剛界曼荼羅の四摂菩薩(大日如来の東西南北の位置に配される)&外四供養菩薩(同じく、四隅に配される)の8菩薩です。一体ずつは小さいので、顔を見るにはオペラグラスなどが必要です。

なお、一字金輪佛頂尊は、その超絶な力ゆえ、どこの寺院でも秘仏とされています。また、仏画がほとんどなので、仏像として残っているのは珍しく、中尊寺のこの仏像はとても貴重です。

その珍しい秘仏を拝める中尊寺の御開帳は得難い機会と言えるでしょう。

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さて、この秘仏は讃衡蔵の出口を一旦出て、前の階段を下りた「秘仏室」にて御開帳されています。一般の展示室とは別です。上の写真は讃衡蔵。

秘仏室の中では「一字金輪佛頂尊」のお守りや記念品なども授与されています。しかし、絵葉書やポスターはありませんでした(階段脇にある売店にイラストの絵葉書あり)。

御朱印もこちらでいただけます。角印の細いラインもくっきりと、見ているこちらが筋肉痛になりそうなほど、とても丁寧に押してくださいました。

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秘仏関連のものは、本堂や讃衡蔵を含め、他では扱っていないのでご注意を。

密教の最高仏

一字金輪佛頂尊とは

中尊寺の「一字金輪佛頂尊」は、見た目は優しげで美しい仏像です。

しかし本来、一字金輪佛頂尊は「भ्रूं(ボロン)」という一字で表される本質的なもので、諸仏の頂点とされています。ある解説によれば「深い瞑想の境地に至った金剛界大日如来が説いた真言から発生したもの」だそう。

具体的にどんなものなのか

…さっぱりわからないので、ここからは私なりの考察です^^;。

真言は悟りを開いた人にしか聞こえません。しかも真言そのものではなく、そこから生まれた「何か偉大なもの」だといいます。一般の私たちに理解しようがありません^^。

ちょっと言い方を変えてみます。

密教の最高位である大日如来。その頭の中(考え・想像)は「完全無欠」「全知全能」の人知の及ばない尊いものです。しかし「言葉」を含めて、人が生み出したどんな表現方法も限界があるので表しきれません。

そこで、伝えようもない「偉大なもの」を文字や如来の形にして視覚化したものが「一字金輪佛頂尊」ということでしょうか。

考えるほど混乱しますが、中尊寺のお坊さんは、「それを表す文字ができるということこそが、すごいことですよ」と言っていました。…確かに^^。

軽い願掛けはケガのもと

さて、そんな最高の仏様なので、純粋で強い力を持っています。邪神・悪神は容赦なく倒します。

「最尊の仏様」と聞くとご利益がありそうで惹かれますが、あまり気軽に近づくとケガをすることに。「金運アップ」とか「玉の輿」などを祈ろうものなら、その邪心ごと倒されてしまうかも^^。

魂の救済や天変地異などの災厄を振り払ってくれる仏様なので、利己的な「小さな願い」ではなく、昨今の大地震や豪雨災害復興のための祈願には力を貸してくれそうです。

紅葉の時期は混雑必至!

私が参拝したのは9月の初旬。秘仏開帳は混むだろうと思い、開門時間の8時半に到着したのですが、拝観者は10名ほど。独り占めとまではできませんでしたが、心ゆくまで鑑賞できました。

時間が早いとはいえ、予想外の少なさ。4年ぶりの御開帳でしたが、見たかった人は前回見て満足してしまったのでしょうか。

中尊寺の売店の方の予想では、「紅葉の時期に合わせているのでしょう」とのこと。人気があるので、何度御開帳しても紅葉の季節になるとごった返すそうです。

やはり、「御開帳も」「紅葉も」と欲張らず、紅葉時期を避けた訪問が良いようです。

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