群馬県高崎市は縁起物のダルマで有名な町です。生産量は日本一(実に80%!)で、選挙用の大きなダルマのほとんどは高崎で作られています。
その地にある黄檗宗・少林山達磨寺。
黄檗宗は中国様式の禅宗のひとつで、その禅宗の基礎を作ったのが達磨大師です。禅宗の祖と呼ばれています。
ご存知の通り、縁起物のダルマは達磨大師をモデルにしたものですが、達磨寺はこのダルマと深い縁があるお寺です。
達磨寺はこんなところ
まず、中国風の総門をくぐって急な階段を上がると、右側に「瑞雲閣」があります。たくさんのダルマが売られていて、賑々しい雰囲気です。
写真ではちょっとわかりにくいですね^^;。
この建物の中には納経所もあります。
さらに真ん中の階段を上がると、本堂にあたる「霊符堂」があります。
「達磨寺といえば…」的な、霊符堂の両脇にたくさんダルマが並べられている写真をよく見かけますが、この日はかなり少なめでした。
ちなみに現在工事中ですが、その裏に宝物殿ができるようです。
霊符堂の隣にもダルマの売店が、さらにその隣には「達磨堂」があり、歴代内閣総理大臣の選挙用ダルマが奉納されています。
瑞雲閣の前の階段を上がると「観音堂」です。この観音堂が、達磨寺でいちばん古い建物になります。茅葺の屋根が馴染んで良い雰囲気^^。
観音堂から霊符堂へ行ける階段もあり、ぐるっと一周することができます。
福ダルマはこの寺から生まれた
群馬の歴史や名産を取り上げた上毛かるたに「縁起だるまの少林山」と読まれているように、張り子の福ダルマ(縁起ダルマ)はこの達磨寺が発祥とされています。
もともと達磨寺では、この寺を開山したとされる心越禅師が描いた一筆達磨像を、厄除けのお札として正月に配布していました。
その後、天明の大飢饉によって苦しむ農民たちを救うため、副業としてこの像をモデルにした張り子のダルマを作らせ、七草大祭の縁日で売ったのが始まりとされています。
現在でも少林山七草大祭は通称・高崎だるま市と呼ばれ、毎年1/6~7に行われています。日本最大のだるま市として、毎年約20万人以上が訪れるそうです。
もちろん、達磨寺ではだるま市以外でも、通年ダルマを販売しています。
このお寺でダルマを購入すると、¥300で願掛けをしていただけます。他所で購入したものでも¥500でOK。
私もお願いしましたが、健康・開運・招福…など、何だかたくさん祈願していただき、妙なお得感がありました^^。
「高崎だるま」の特徴
張り子のダルマは産地によって特徴があります。
「高崎だるま」はとことん縁起にこだわり、眉は鶴、口ひげは亀を模して描かれています。筆でこれを一気に美しく、さらに左右均等に描くのはまさに職人技です。デザイン的にも優れています。
また、顔の左右に「吉祥・開運」「家内安全」など、願い事が金泥で書かれることも特徴的です。
赤い色は達磨大師の衣ですが、この色に魔除けの意味があります。胴体に金泥で書かれている縦縞は衣の皺なんだそう。
そして「七転び八起き」しやすいように、ずんぐりむっくりした丸に近い形になっています。
御朱印をいただくには納経が必要
達磨寺で御朱印をいただくには、写経を納める必要があります。納経所で書くこともできますが、本来は事前に書いたものを納めます。納経しないで御朱印をいただこうとすると、お説教を受けることもあるようです。
救済措置として、その場で10文字の写経をすれば御朱印をいただけますが、落ち着いて写経できる雰囲気ではありません。また、電車やバスの時間を考えると、持参した方が効率的です。
納経すると、わざわざ法衣を着替えて線香を焚き、その写本と御朱印帳に祈祷していただけます(ダルマの願掛けも同じところです)。
納経の証として御朱印をいただく、本来の体験をしてみる良い機会かもしれません。
交通アクセスは良くない
車でくる場合には問題ないのですが、公共の交通機関を利用するには、なかなか不便な場所です。
高崎駅西口からコミュニティバス・ぐるりん少林線で約20分、「少林山入口」で下車。あるいは群馬バス・安中市役所行きで同じく約20分、「八幡大橋前」で下車し、さらに徒歩約10分。
でも、どちらも1日に数便とかなり少ないので、あちこち回る予定の方には電車の利用をおすすめします。
電車の場合。高崎駅から信越本線で2駅目の群馬八幡駅で下車し、20分ちょっと歩きます。ちなみに電車は1時間に1本ほど。やはり少ないです。
改札はひとつしかないので、出たら左手に進みます。
そのまま道なりに進むと左にカーブし、踏切がありますので、それを渡ります。
さらに突き当たりまで進んで「少林山入口」の交差点を右折します。ちなみに交差点の左手には「大門屋」というお店があります。
右折したら、大通り沿いではなく、坂になっている細道があるので、そちらを歩きます。歩道と車道は別になっているので注意してください。
上り切ったら、左手にあるダルマの橋を渡ります。
その先からは道案内の看板が出ているのでわかりやすくなります。突き当たりを左折。
少し先を右折。看板が少し小さいので見落とさないようにしてください。この先は上り坂で、道なりに進みます。
ただし、この道順では総門を通らず、いきなり瑞雲閣に到着しますのでご注意ください。総門はさらに先に進んでから右折するようです。