烏子稲荷神社(すないご・いなりじんじゃ)は、JR信越本線の群馬八幡駅から徒歩40分ほどのところにあります。街中から離れているので落ち着いた雰囲気。
日が傾いてしっとりとした烏子稲荷神社に行って来ました。
古墳の上に建つ神社
神社周辺は平地ですが、境内だけはこんもりとした山になっています。
なぜなら、この神社は「上小塙稲荷山古墳」という古墳の上に建っているから。
この古墳は前方後円墳の一種で、古墳時代の後期、6世紀前半の築造と推定されています。そして横穴式石室があるのですが、入口が北西向きになっています。この古墳のように入口が北を向いている石室は本当に珍しく、古墳マニアが多く訪れています。
ちなみに石室は、写真の案内図にある通り、本殿の裏側にあります。
見ごたえたっぷりの本殿
さて、話題は「てらたび」の主役=神社へ。
まず、参拝をする方はもれなく鳥居の茅の輪をくぐります。低めにつくられているので、必然的にお辞儀をしながらくぐることに。形がいびつなのはご愛嬌^^。
夕方なので、緑に鳥居の赤が映えて美しかったです^^。
拝殿は大きくはありませんが、柱の赤が全体を引き締めていて見栄えがします。陽の当たり加減で、より立体的に見えました。
木の古びた感じが重厚な面持ち。彫刻も精巧です。
裏に回ると天照大神などの碑があります。
本殿の周囲は広くはありませんが、いろいろと社殿が建っています。なかなか賑やか^^。
烏子天神
稲荷社
小さめながら神楽殿もあります。
御朱印は階段下の社務所でいただけます。
ちなみに、神社を一度出てから右に行くと弁天池があり、弁財天も祀られています。
「烏子」は昔の地名から
烏子稲荷神社は西暦783年に、京都の藤森神社の稲荷神を分祀してできた神社です。
社名は、この地が古くは「須苗郷(すなえごう)」と呼ばれていたことから、「スナイゴイナリ」になりました。
須苗郷という地名は文献によっては「須苗子」・「烏子」とも表されています。そこで漢名を「烏子稲荷神社」としたそうです。「烏」の読みに「すな」の類はないので、何かの当て字なのでしょう。
少し話は変わりますが、烏子稲荷神社は武田晴信(信玄)が箕輪城攻めを前に、戦勝を祈願した神社。
武田勢はその後、それまで3度の戦で10年を費やし、難攻不落だった箕輪城の攻め落としに成功しました。ここはそんな霊験あらたかな神社でもあるのです。
歩くよりバスが便利
群馬八幡駅は、「だるま市」で有名な少林山達磨寺の最寄駅でもありますが方向は逆。達磨寺から歩くと1時間以上かかってしまいます。
いちばんラクなのは、バスを使う方法です。
高崎駅または北高崎駅から水沢・伊香保方面行きの群馬バスに乗って「浜川」バス停で下車、徒歩6分。1時間に1~3便あります。乗車時間も次にご紹介する「ぐるりん」よりも短いところが利点です。
もうひとつのバス、コミュニティバス「ぐるりん」は、神社のより近くにバス停があります。ですから迷うことがありません。運賃の安さも魅力です。
高経大線で高崎駅西口から「上小塙町」バス停下車、徒歩2分。ただし本数はずっと少なく、社務所が開いている時間帯では1日12便ほどです(系統番号3・4合わせて。ちなみにこの違いは右回りか左回りかの違い)。
ちなみに、今回私は時間に余裕があったので、「ぐるりん」を利用しました。
コミュニティバス「ぐるりん」について
ついでなので、高崎の散策に便利な「ぐるりん」について少しだけ。
「ぐるりん」はその名のとおり、市内のあちこちを経由してまた高崎駅に戻ってくる循環バスです。一方向だけではなく、逆周りの便もあります。
高崎市内を回るコミュニティバスなのであまり本数がないのですが、寺社や公共機関などの目的地には路線バスよりも近くに停留所があります。運賃はどこまで行っても¥200(市街地なら¥100)。
町の様子がわかりますし、時々「ここ通っちゃうの!?」と思うような細道にも入ってドキドキ^^。
ただ、当然やたらと曲がるので、乗り物酔いされる方はムリかも^^;。
こういったコミュニティバスは「NAVITIME」などの案内サイトには載っていないので調べる手間が必要ですが、賢く使うと「てらたび」にも便利です。もちろん、市民ではなくても乗れますよ。
最後になりましたが、烏子稲荷神社は、交通の便が悪い高崎の寺社の中では、足が延ばしやすい神社です。落ち着いて参拝ができますし、古墳も見ることができますので知的好奇心も満たせます。穴場スポットです。